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「ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法」を読んだ感想―コンフォートゾーンから出るには?

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ひっこみ思案とは違うような

タイトルは「ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法」。

アンディ・モリンスキーという方の著作。

洋書からの翻訳である。

ビジネス本だと、洋書と日本の本だと、テイストがだいぶ違うので読みにくい。

洋書の場合、具体例や巧みな比喩を駆使したしっかりした文章が続く。日本のビジネス本だと、読みやすや時間効率を意識した簡潔な文章と構成、イラストも多く、数時間で読み終えてしまえることが多い。

こういう日本のビジネス本の文化からしたら、本書はちょっとくどかった。

まず事前に指摘しておかないといけないのは、本書の主題は「コンフォートゾーンという自分が快適でルーティンな生活ができる場面から出ること」である。

仕事の都合による義務からや、将来の夢にためなど、何かしらで、自分が苦手とする場面にチャレンジしないといけない状況があると思う。そのときの対処方法について書いてある。

その例の多くが、内向的な人が人前でスピーチしないといけない、とか、仕事上で自己主張をしないといけないなどだから、「ひっこみ思案から生まれ変わる」方法というタイトルにしていると思う。

しかし、先も書いたとおり、コンフォートゾーンという概念とひっこみ思案はイコールではない。日本人向けかつ読者層を考えて、「ひっこみ思案」を主題に意訳したのだろう。

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でも「ひっこみ思案」というキーワードで本書をとった人からしたら、内容が期待はずれになる気がする。

もうひとつケチをつけると、科学的方法と謳っているが、はっきり言ってそんなテイストは希薄です。タイトル詐欺だなという印象。でも内容はまあまあいい。なんでこんな紛らわしタイトルにしたのだろう。

コンフォートゾーンとは

とにかく本書はコンフォートゾーンから出ないといけない場面は必ずある。そのときに対処法についての本だ。

コンフォートゾーンの外にはメリットがある。わかっていてもなかなか出るのは難しい。そこで二の足を踏んでしまう人の思考の癖が列挙してあるが、図星で胸が痛くなる。

言い訳をして回避したり、先延ばししたり、あえて下手にやってその先に進まなくていいようにしてしまう。これらはほぼ無意識で行われる。

まずこの無意識のブレーキに気付いていないと、お話にならない。気付いたらそれをどやって乗り越えるか?

無意識のブレーキを乗り越える

いろいろ書いてあるが、私がひっかかったのは「小さな勝利を積み重ねる」という言葉だ。

失敗した挑戦でも、あるいは挑戦というほどではなくても自分的には苦手なことに乗りかかった過程の中に、小さくても不安や恐怖を乗り越えたことを見いだし達成感に変え、自分の中にストックしておくこと。大きな目的が達成されなくても、そういった小さな勝利はあるはず。結果がダメだったからと言ってすべてを否定しないようにしよう。

この小さな勝利は、別の状況にも当てはめることができ、一歩踏み出す推進力の燃料になる。

上述したように、「科学的」な感じは希薄だ。本書から得られるのは、むしろ具体例のエピソードを読んで、勇気づけられるということかもしれない。読み終えると、「自分にとってのコンフォートゾーンの範囲はどこまでだろう」「そういえば無意識のうちに回避しているな」と考えはじめ、「ちょっとそこから出てみることを試みてみようかな」と思うでしょう。

最近のテクニック(ライフハック)系の自己啓発本に飽きてきている人におすすめかも。

ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法

ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法