マッドがMAXじゃなかった『マッドマックス怒りのデス・ロード 2D』
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2D版の感想です
マッドマックス怒りのデス・ロードを観たので、感想を書いておく。 近所の映画館では3D版が上映終了していたので、2D版の感想です。
マッドマックスシリーズは1、2は観ているはずなのに、なぜかほとんど記憶に残っていないし、今回の『マッドマックス怒りのデス・ロード』を観た今、あらためて観なおそうという気も起きないので、シリーズものとして、本作がどうだったかは触れません。
派手なわりに退屈
さて、率直な感想。 アクションは大量にあったが、活劇性やサスペンス性はなかった。つまり、派手なシーンが続く割にハラハラしない。つまり、緊張感がない。
例えば、『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ローン・レンジャー』のゴア・ヴァービンスキー監督が同じ題材で撮っていたら何十倍も面白かっただろうなと思った。なんでゴア・ヴァービンスキーを比較の対象にしたかといえば、『マッドマックス怒りのデス・ロード』を観ながら、陸の『パイレーツ・オブ・カリビアン』ぽいなって思ったから。でも、圧倒的に『パイレーツ・オブ・カリビアン』のほうが面白い。アクションの醍醐味を味わえて、かつ腹を抱えて笑かしてくれただろう。 例えば、同じ題材をクエンティン・タランティーノが撮ったら、もっと残忍・ヴァイオレンスで、それでいてコミカルな活劇になっただろう。 同じ期間に上映されていたという理由で比較するのだが、子ども向けのクレイアニメ・ストップモーションアニメ『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』のほうが、圧倒的に活劇だ(子どもだけでなく大人も見るべきだと思った)。
あるいは、『ダークナイト』などのクリストファー・ノーラン監督なら、同じ題材で撮っていたら、嫌気がさすほど伏線をはってハラハラドキドキ、緊張感のある2時間を過ごさせてくれただろう。
こんな比較はないものねだりというものなのだろうということはわかっている。
でも、だとしたら、これはいったい何なんだと観ながら思ってしまうわけです。退屈な派手さを延々見せられて。
マッド(狂気)ではない
「マッド(狂気)」だという感想をチラホラ見ましたが、どうなんでしょう。 「先には何もない」という世界観は残酷ではあれ、「マッド(狂気)」ではなく、現代ではむしろ現実追認的なノーマルな認識ではないでしょうか。その点、例えば、クリストファー・ノーランの偏執狂さのほうがずっと「マッド(狂気)」だと思うのです。 まあ、悪趣味ではあるかな。でも「マッド(狂気)」ではない。
5分か10分のヘビメタバンドのミュージックビデオであったなら、これはマッドだとそれなりに興奮したかもしれません。
そう映画というより、ストーリー仕立てのミュージックビデオのようでした。
これじゃアレなので
これだけじゃアレなので、面白みを感じた部分を挙げておこう。
- 男は暴力で駆け引きをするが、女は言葉で駆け引きをする
- 銃よりチェーンカッターのほうが重要な役割を演じている
とくに1番目のテーマはもっと大々的に展開すれば、なかなかない映画になったかもしれない。
唯一すごいなと思ったのは、環境やら宗教やら女性性などテーマを盛り込みながら、結局は逃げて追われる、「行って戻る」だけの単線的な物語だということ。ディズニー映画をはじめ子ども向け映画でさえ、複雑・重層的な物語になっている現代の映画において、これだけ単線的な映画は極めて稀ではないかということです。
こんな記事を見つけました。
映画そのものより、この記事のほうが面白いとすら思ってしまったのですが、ようはこの記事のようにツッコミながら観るのが、本作の楽しみ方かもしれません。
どうせみるなら3D版か!?
こんなふうに考えてくると、3D版で観るのが正解だったかもしれない。4DXでも上映していたらしいのですが、それが一番正解かもしれません。一つのアトラクションのようなものとして。 4DXとは、映画の合わせて、椅子が揺れたり、煙やミストによる演出されるものです。
うがった見方をすれば、ジョージ・ミラーは演出が下手なのではなく、むしろ上手く作ってやるものか、伏線なんかでハラハラさせてやるものか、視覚的な快楽、俺の趣味を味わってくれっという意志があったのかもしれません。だとするなら、それはマッドです。
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