webサイト制作現場の教科書にしたいくらいの良書をご紹介
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おすすめ本
kindle版はこちら。今すぐ読めます。
著者
株式会社ツクロア /秋葉 秀樹 / 秋葉 ちひろ
感想
とてもいい本です。 タイトルの「Webデザイン・コミュニケーション」には二つの意味が込められています。
- 人と人のコミュニケーション
- 人とWebのコミュニケーション
主に、前半が「人と人のコミュニケーション」について、後半が「人とWebのコミュニケーション」、つまりwebデザインと聞いて一般的に想像するところ、UI(ユーザインターフェース)についてです。
私は、ディレクション業務に近い立場なので、とくに前半を興味深く読みました。とりわけ3章「発注者とのコミュニケーション」はためになります。 ちょっと本書から小見出しを抜き書きしてみましょう。
- クライアントに、エンドユーザーがいることを理解してもらう。
- 発注者の中に、「答えはない」
- 「複数案出してよ」の本質
[引用 本書73-75P]
これだけで読みたくなりませんか?
私が思うに、発注者と受注者がもめるのは、二者関係だからです。互いの言い分があっていれば、もちろん問題ないでしょうが、ずれていると正面衝突します。だからターゲットとなる「エンドユーザー」を第三者として想定しておけば、意見がずれたときに同じ方向を向いて合意形成しやすくなると思います。
発注者がお金を出しているので、発注者の意見は強いです。なので、もめると受注者・製作者が負けます。「じゃあいいよ、そんなに言うなら言われたとおり作るよ。どうなってもしらないぞ」みたいなひねくれた気持ちになることもあるかと思います。
しかし、これはさらなるどろ沼への前進です。 上で引用したとおり「発注者の中に答えはない」のだから、発注者が言うことなんて漠然とした抽象的なことばかりです。そこからなんとなくデザインを制作したところで、後出しジャンケン的に「なんか違う」と言われて「言われたとおり作ったじゃないか」って腹が立つ。
あるいは「発注者の中に答えはない」から、「複数案出してよ」になる。決められない人ほど、事ある毎に「複数案出してよ」って言います。 制作側からしたら複数案って大変ですよね。その分だけ作業が増えるわけですから。 ただ完全否定はしません。場合によっては必要なこともあるでしょう。
ただ「とりあえずビール」ならぬ「とりあえず複数案」は危険です。やるだけ無駄になったりするからです。何を判断、何を比較するかを決めた上でやるべきです。漠然と複数案を並べても、何がよくて何が悪いかを判断できないのです。
なにをよしとするかの基準がないから、どんなにすばらしい案が上がってきたとしても、よいと判断できないからです。 [引用 本書75P]
これはサイト制作に限らないですが、人間は判断基準がないと判断できないのです。
だから制作に入る前のヒアリングは大事です。発注者側に明確な判断基準があればいいが、ないときには、発注者側の漠然として要望から汲み取る必要があるのだろう。
本書はこういうことに多くのページ数を割いていることがすばらしい。 こういったことの結果として、製作者も振り回されなくてすむし、良いサイトが生まれるし、発注者も喜び、エンドユーザーにも愛させるサイトができる。
後半はUIの話がテーマになります。専門的になりすぎていないので、デザイナーやエンジニアではなくても楽しいと思います。
文章と図がわかりやすいです。
webサイトは紙とちがうんだってところから始まります。ユーザーとの対話・コミュニケーションがwebサイトなのだということです。
詳しくは本書を読んでみてください。事例がたくさん載っています。