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おでこと生えぎわの間をなんて呼ぶ?

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気づいていないふり

髪を切った。
気づいていないふりをしていただけだが、
生えぎわが後退してきたなあ、とあらためて気づかされる。
昔はうっとうしいので前髪は短くしていたが、
「前髪はどうします?」と聞かれれば迷わず「残して」と答えるようになっていた。

鏡を見ながら前髪を持ち上げてみる。
明らかに生えぎわが後退している。哀しい。
しかし、ものは言いようで、おでこが前進しているのだと言えば、
なんかポジティブな感じがする。

言い方次第ということもある

そう、言い方次第ということもあるのだ。
かつて髪で覆われていた頭皮をおでこと呼んでしまっていいのだろうか?
最近の毛生え薬は効くらしい。
昔からおでこと呼ばれていたところから髪が生えてくるわけないが、
かつて頭皮だったところからは髪が生えてくる可能性があるわけだ。

それなのに、そこを安易に「おでこ」と呼んでしまうと、
生えるものも生えなくなってしまうのではないかと危惧する。

おでこと後退した生えぎわの間をなんと呼ぶべきか?

名前はあるのだろうか? 私は聞いたことない。なさそうだ。
医学的に言えば、身も蓋もなく「すべて頭皮」で済まされてしまいそうだ。
しかし、地理学的に言えば、砂漠と森林の間の草原「ステップ地帯」、
政治学的に言えば、朝鮮半島の38度線のような「緩衝地帯」という言葉がある。
このように、おでこと生えぎわのあいだの曖昧な領域を名前をつけてあげたいと思う。
「おでこ」や「頭皮」や「元生えぎわ」ではなく。

頭皮の現実からの逃避(ダジャレじゃない)

こんなこと女性からしたらくだらない議論だと思うだろう。
「坊主にすればいい」とか言う。
しかし、私は頭の形がよくない。できれば坊主は避けたい。
とは言え、しゃれじゃなく、「頭皮の現実からの逃避」は大人げないので、
「禿げてきたよー」と男同士では笑いのネタにしたみたりする。

センチメンタルゾーン

そこで思いついた。どうだろう?
おでこと生えぎわの間を「緩衝地帯」にひっかけて、「感傷地帯」と名づけてみては。
悲喜こもごも感情渦巻く領域にぴったりではないだろうか?

夜な夜な、世間の中年男性は風呂あがりに鏡を見ながら、
前髪を持ち上げて、感傷的な気分になったり、自嘲するのだ。
「感傷地帯」。いいネーミングではないかと、我ながら思う。

私はこれからそう呼ぶことにする。
賛同していただける方にはぜひ使ってほしい。
女性にもだ。
中年男性にとってのデリケートゾーンにどう目をむけていいのかわからないことがあったと思う。悪意はないにしても。
しかしこれからは、禿げはじめてきた中年男性を見ても、腫れ物にふれるようにではなく、温かい目を向けてほしいと思う。男の悲哀がにじむ「感傷地帯」として。

英語でセンチメンタルゾーン。デリケートゾーンと肩を並べる感じでいいと思うのだが……どうですか?