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LIFE DRIPPER

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江ノ電に乗って極楽寺駅で降りれば綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずの四姉妹と普通にすれ違いそうと思わせる|是枝監督『海街diary』評

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是枝裕和監督の新作『海街diary』を観ました。おすすめなので、ブログに感想を書いておきます。

海街diary (小学館文庫)

海街diary (小学館文庫)

 

↑これはノベライズ本

CMで見るような彼女たちの姿はない

原作は吉田秋生の同名マンガです。三姉妹と、一緒に暮らすことになった腹違いの末の妹。鎌倉での彼女たち四人の生活と、徐々に家族の絆が結ばれていく話です。詳しいストーリーについては公式HPをご参考ください。

umimachi.gaga.ne.jp

四姉妹を演じるのは、綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず、です。なんて豪華。こんなきれいな四姉妹いるわけないって思うくらい。これだけそろっていて面白くないわけない。

実際、最高でした。でも、四人の女優の美しさを期待してたら、裏切られるかもしれません。是枝監督は、四姉妹の自然な姿を撮ることに徹している。

彼女たちは、笑ったりはもちろん、怒ったり、だらだらしたり。飾ってるシーンが全然ない。極端に言えば、この映画の中の彼女たちは美しくない。CMで見るような彼女たちの雰囲気、いわゆる美人女優なんて雰囲気がまるでないのだ。

例えば、綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず、彼女らの誰かを神聖視するくらいの熱烈なファンが、この映画を観たら幻滅していまうかもしれない。それくらい飾りっけのない自然な姿がある。

四姉妹の配役を知って、こんなきれいな四姉妹いるわけないって気持ちで見始めるが、見終わると、この四人は実際に血がつながった姉妹で、鎌倉に住んでいないわけがないという気持ちに変わる。そのくらい、鎌倉や、彼女たちが住む古い家屋に馴染んだ姿が見れる。

余計なお世話だが、彼女たち四人は撮影が終わってプライベートでも姉妹のように仲がよくあってほしい、という願望を持ってしまった。そうじゃないと幻滅だと。まったく余計なお世話だ。

こんな四人の女優ともう一つ主演が鎌倉だ。鎌倉の名演ぶりは書かなくてもいいだろう。やっぱ鎌倉はいいね。

音楽は菅野よう子

で、音楽は菅野よう子。すごいよかったです。
是枝監督と菅野よう子のインタビュー記事を読むと、この映画がどう素晴らしいかが感じられるので、こちらもどうぞ。

mantan-web.jp

菅野さんも「4人の表情はよだれが出るぐらい(笑い)チャーミングだし、食べっぷりにすごく生命力を感じます。すごく元気が出ます」と称賛
引用元:http://mantan-web.jp/2015/06/14/20150614dog00m200030000c.html

この「チャーミング」って表現が一番正しいのかもしれません。CMで見るような現実離れした美しさではなく、舞台となる鎌倉や古い家屋に馴染んだ四姉妹の素の姿はとてもチャーミングです。

見逃してはいけないシーン1

特記しときたいシーンが二つあります。

一つは、中盤で広瀬すず前田旺志郎(顔つきが大人になってきてた!)が自転車で桜並木を通過するシーンです。ここは見逃してはいけません。桜を仰ぎ見る広瀬すずの顔のアップが素晴らしい。瑞々しい美しさ。これから広瀬すずは名女優の道を進むでしょうが、その道のはじまりに記される名シーンとして記憶しておくべき、と言いたい。

是枝監督はこういうシーンがうまい。たとえばこの動画を観て欲しい。是枝映画の世界観がわかる。派手ではないが、美しい。そんなシーンの連続だ。

The World According to Koreeda Hirokazu from kogonada on Vimeo.

いつかこの動画が更新されれば、この広瀬すずのシーンも加わるに違いないと勝手に思っています。

話変わりますが、広瀬すずはサッカーをやっていたんでしょうか? 鎌倉でサッカーチームに入り、サッカーするシーンがあるのですか、上手いです。編集で上手く見えているだけかもしれませんが、ドリブルとか決して未経験に見えない。

見逃してはいけないシーン2

閑話休題

もう一つ大好きなのはラストシーン。葬式帰りの四姉妹。喪服で浜辺を歩きます。一瞬市川崑の『黒い十人の女』の十人の女がいるシーンを思い出してしまった。全然物語もシチュエーションも違い、浜辺に黒い服の女たちというモチーフが似ているだけなのですが。

 

黒い十人の女 [DVD]

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市川崑が構図をカチッと決めるのに対して、このシーンでの是枝監督の演出は「構図を決めてやるものか」っていうくらいのが意志が感じられます。

まず、波打ち際を歩く四姉妹を捉えるカメラが揺れている。寄せては返す波のリズムにあわせてるかのようにゆったりと揺れている。歩いている四姉妹も波打ち際でふざけたりじゃれたりして、くっついたり離れたりしています。

この演出は四姉妹の関係性を表現しているように見える。

不安定でありながら、決して絆が解けてしまうことはない。いつもベタベタとくっつき合っているわけではないし、この先それぞれ結婚し家を出て、バラバラになってしまうかもしれない。それでも波にさらわれそうになったら、肩を寄せ合い、助け合い、絆を強める。

このラストシーンを見ながら、この四姉妹はこれから先、こういうふうに鎌倉で生きていくんだろうなあって思わせる。素晴らしいラストシーン。

今すぐ横須賀線に乗って鎌倉に行き、江ノ電極楽寺駅で降りれば、そんな姿の四姉妹にごく自然に出会えるんじゃないか、と思わせてしまう素敵な映画です。

 

【原作マンガ】

【ノベライズ】

海街diary (小学館文庫)

海街diary (小学館文庫)

 

【雑誌】

SWITCH Vol.33 No.6  是枝裕和の20年 ”海街”へー ある家族の物語

SWITCH Vol.33 No.6 是枝裕和の20年 ”海街”へー ある家族の物語

 

【お気に入りの是枝作品】

奇跡 [Blu-ray]

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空気人形 [DVD]

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【その他関連本(欲しい)】

すずちゃんの鎌倉さんぽ―海街diary (フラワーコミックススペシャル)

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海街diary すずちゃんの海街レシピ (フラワーコミックス)

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